心に残る、アンリの日本代表への拍手
多くの名場面が生まれた日本対ベルギー戦

中田徹

日本対ベルギーは間違いなく名勝負だった

全てのゴールが記憶に残り、多くの名場面が生まれた日本対ベルギー戦だった

全てのゴールが記憶に残り、多くの名場面が生まれた日本対ベルギー戦だった【写真:ロイター/アフロ】

 日本対ベルギーは間違いなく名勝負だった。イタリアでは、この試合が、今大会ここまでの最高視聴率を記録したという。イングランドでは、自国戦を除いた試合における最高視聴率をとった。しかし、何よりもこの試合のすごさを雄弁に物語るのが、かつてのフランス代表名ストライカー、ティエリ・アンリの日本代表への拍手だった。


 タイムアップの笛が鳴り、負けて打ちひしがれた日本代表の選手たちは、重い足取りでゴール裏のサポーターの方へ挨拶(あいさつ)に行った。ベルギー代表のコーチを務めるアンリは自軍のベンチから出てハーフウェーライン手前まで来て日本代表のことを見守り、やがて長い拍手を惜しみなく日本代表に向けて送り出した。


 とぼとぼと50メートル以上の距離を、頭を下げながら更衣室へ引き上げる日本代表の選手たちは、アンリの姿にほとんど気付いていないようだった。しかし、吉田麻也と川島永嗣は、アンリの元へ歩み寄り、お互いに健闘をたたえ合っていた。


 原口元気、乾貴士のゴールに私は震え、ヤン・べルトンゲン、マルアヌ・フェライニ、シャドリのゴールにベルギーの底力を思い知った。ゴールを決めて仲間から祝福された後、ポジションに戻る乾に香川真司が軽く蹴りを入れた姿に、2人の絆の強さを感じた。ルカクとの空中戦に負けて、ヘディングシュートを許した後のクロスに対して、「地上戦では絶対に負けない」という強い意志をタックルで表した吉田の守備もすごかった。


 全てのゴールが記憶に残り、多くの名場面が生まれた日本対ベルギー戦。中でも、アンリの日本代表へのリスペクトがたっぷり詰まった拍手が、私にとってのベストシーンとして心に刻まれている。

中田徹

著者名
中田徹
著者紹介文

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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