西野監督「不本意な選択だった」
W杯ロシア大会、ポーランド戦後の会見

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ポーランド戦後の会見に臨んだ西野監督

ポーランド戦後の会見に臨んだ西野監督【Getty Images】

 サッカー日本代表は現地時間28日、ワールドカップ(W杯)ロシア大会のグループリーグ第3戦でポーランド代表と対戦し、0−1で敗れた。同時刻に行われたセネガルvs.コロンビアは1−0でコロンビアが勝利したため、日本はセネガルと勝ち点、得失点差、総得点で並んだが、警告数などフェアプレーポイントの差で2位になり、2大会ぶり3回目の決勝トーナメント進出を果たした。


 試合の終盤、日本は他会場でコロンビアがリードしていることを知り、0−1で負けていながらボールキープを選択した。西野朗監督は「納得いかない。不本意な選択」としながら、「W杯はそういう戦いもあって、その選択が正解と出れば、勝負にも勝ったということ」と複雑な心境を語った。


 決勝トーナメントに進んだ日本は、7月2日にロストフ・ナ・ドヌでベルギー代表と対戦する。

長谷部の投入が、すべてのメッセージ

西野監督は他会場の情報を伝え、長谷部をピッチに送り出した

西野監督は他会場の情報を伝え、長谷部をピッチに送り出した【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

──終盤にボールを回してそのままのスコアで終わらせた。セネガルが点を取ると敗退のリスクもあったがどう判断した?


 非常に厳しい選択。万が一という状況は、このピッチ上でも考えられましたし、もちろん他会場でも万が一はあり得た。そこで選択したのは、そのままの状態をキープすること。このピッチで万が一が起こらない状況を選びました。これは間違いなく他力の選択だったということです。ゲーム自体に負けている状況をキープしている自分、というのも納得がいかない。不本意な選択をしている。他力に頼っている。


 ただ、非常にシビアな状況だったと思います。ピッチ上では回すだけでなく、チャンスがあればオフェンシブに(いく)という選択を早い段階でしていた状況がありました。ただ、選手たちのバランスが非常に「これでいいのであれば、この状態」を選択している意識と、そうでなくても重心が後ろに(下がってしまう)というような(印象があった)。万が一、0−2になったらという状況でした。おそらく、ディフェンスもオフェンスの選手もそうなんですけれど、自分が送ったメッセージは「このままでいい」というものでした。それで選手たちが状況をキープした、そういうベンチワークでした。


 非常に自分の中でも、攻撃的に、アグレッシブに戦ったグループステージの1、2戦を考えれば、この3戦目で何としても勝ち上がるにあたって、この選択は(当初は)まったくなかったものです。ただそういう状況だったので、自分の中になかったプランの選択をした。自分が選んだのは他力だった。自分の信条では納得できなかったですが、選手に遂行させました。


 ただW杯は、そういう戦いもあって、その選択が正解と出れば、勝負にも勝ったということなのだと自分では思っています。チームとしてもそう思いたいし、そういうフットボールがあってもいいのかなと、初めて感じたゲームでした。W杯のグループステージを突破するための究極の選択かもしれない。そして自力ではなく他力を選んだというのは、少し後悔はあるかなとは思います。自分の中になかったプランを選択したことに関しては、今までのアグレッシブな戦い方に、何か運がついてくれた。ブーイングを浴びながら選手たちにプレーをさせたことは、自分の信条ではない。これから選手に、いろいろ伝えたいと思います。


──プランにない選択を迫られたということだが、どのタイミングで選択したのか。それと長谷部誠を入れるタイミングで選手には何を伝えたのか?


 前半を0−0で他会場(セネガル対コロンビア)が終わって、われわれが動かなければならない。「このままでいい」という選択をしてはダメだと、選手たちにはハーフタイムに伝えました。守り切る頭はここに置いておいてくれと。アグレッシブに、攻撃的に勝ちにいく。そのスピリットを持ってピッチに立ってくれと。このままの状況はあり得ない。選手たちは、もちろん攻撃的に点を取りにいくという選択は持ちながらも、ああいう形で失点した。攻撃的なカードを切る中で、他会場が動いた(コロンビアが先制した)、なおかつ攻撃的に入っていく。ただ他会場が動いた中で、時間が刻まれる中で、自分の選択が変わっていったと。


 長谷部の投入時には、今の状況を伝えました。で、ハイリスク(を冒すの)ではなく、しかもイエローカードについても(もらわないよう)指示をした。こんな状況は今までにないです。不用意なファウルを避けて、4−1−4−1のシステムで、ある程度ディフェンシブな形でバランスをもって(戦うよう指示した)。時間を刻む中で、「このままでいい」ということを伝えた。そういうメッセージがあって、チームは動けない状況。長谷部の投入というメッセージで、このままキープでいく。0−2にはさせない。ポーランドも、アグレッシブに追加点(を取る)という形でもなかった。時間が刻まれていく中で、その選択をした。長谷部の投入が、すべてのメッセージであったことは間違いないです。一歩踏み入れるときに、(長谷部が)「状況が変わったら、すぐに教えてください」と。行く前にもカードのことを(情報として長谷部に)入れました。

アトランタ五輪のリベンジができたと思いたい

──難しい選択だったと思う。あの瞬間、今までにない重圧を感じたか?


 自分のスタイルは、攻撃的というか強気というか。選手には、コロンビア戦に入る前には「強い選択を選べ」と(言ってきた)。試合にはいろいろな状況があります。上がっていいのか、ステイなのか。いや、そこは上がるんだと。ためらわずにポジションを高く取れと(言ってきた)。チームとしてもアグレッシブにプレッシングして、ボールを保持してゴールに向かう。常に強い選択を選手には求めて、選手は非常に実践してくれた。それで好転していくゲームを続ける中で、今日のゲームはこういうトーンになりました。ひとつのゲームに対して、ひとつのプレーに対して、選手に強い選択を常に求めている中で、ゲームの敗戦を考えれば、救いだったのは(次の)ステージに上がれたというところだけですかね。


──ボルゴグラードについてはどんな印象を持っているか。この都市のことを「日本が敗れた土地」と考えるか?(ロシアのメディア)


 半分半分ですね。ゲームに負けたことは忘れないです。日本サッカー界が、2018年のW杯でグループステージを突破できた土地でもあるので半分半分です。次に来るときは、勝つゲームをしたい。リベンジしたいと思って、(キャンプ地の)カザンに帰ります。


──22年前のアトランタ五輪では勝ち点6を獲得しながら決勝トーナメントに行けなかった。今回は勝ち点4とフェアプレーポイントで行けた。監督としてどう考えるか?


 結果的にグループステージを突破できた、勝ち上がれたというのは、自分の中では世界大会で同じようなめぐり合わせ。(アトランタ五輪でも)南米、アフリカ、欧州の強豪と戦うめぐり合わせであり、勝敗こそ違いますけれど、ステージを勝ち抜く難しさというのも五輪ですけれど経験した。そういうことも感じながら突破したことに関して、自分の中ではリベンジできたと思いたいです。勝ち上がり方の問題で、負け試合(で決めた)ということがフォーカスされれば(価値が)半減することもあるでしょう。W杯で勝ち点4を取る難しさは、ステージが五輪とW杯で違いますけれど、いろいろな思いで勝ち上がれたことを、そこだけはフォーカスしたいとこれからは思います。

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